モミジの新緑が鮮やかな4月下旬、保津川下りを初体験した。知ってはいたものの船は手漕ぎ船。いにしえの水運を観光客向けに復活させた遊覧船は全国各地にあれど、今どきたいていモーター船だ。船頭3人で50人を乗せた手漕ぎ船で急流を下っていくというのはあらためて新鮮だった。特にモーター音がないので、鳥のさえずりや水のはねる音などの自然の音も全て聞こえるのが気持ちよかった。亀岡から嵐山までは1時間50分。所要時間は水量によって変わるそうだ。この保津川下り、岩場の景勝地を、一切動力を使わない船で下っていく、美しくて楽しくて気持ちいいすごい観光コンテンツだと思うのだが、いったい保津川は学術的には何がすごいのか、魅力なのか、ということを少し整理したい欲求に駆られている。
川下りのルート以下の通りだ(保津川遊船企業組合HPより)。
川がえらい蛇行してるのは、山の突き出た部分を迂回するように川が流れてるからですな。保津川渓谷の地形は以下のようになっている(→出典)。
ここの地質はチャートだという。チャートというのは放散虫というプランクトンの化石で、放射年代測定によると中生代の地層だとか。以下の地図のオレンジのところがチャート、緑色のところが玄武岩(→出典)。チャート層の特徴は固いこと。同じ生物化石由来の岩でも、石灰岩はカルシウム質で弱酸性を帯びる雨などで溶けやすいが、チャートは固いらしい。
保津川下りの地質景観というのは、そんなチャート層の谷間を流れる急流が長年にわたり岸壁と川底を削りながら築き上げてきた景観ということにあるが、岸壁のチャート層が固いので、これだけ急流なのに川幅が拡がらずに狭い、ということになるのだろうか。このあたり継続調査のこと。
ついでに保津川の文化的景観についてまとめたこちらもクリップしておこう。