海成段丘を見る
どれだけ本を読んでも今一つピンと来なかった「海成段丘」というものをこの目で見てみるべく、高知の室戸岬へと向かった。徳島から阿南市と美波町日和佐などを経由して下道でざっと6時間、120km。道中見どころが多くすっかり夕方になってしまった。
以下は室戸岬の西海岸を撮影したもの。絶壁ではないが急角度の壁ができており、上部は緩やかな傾斜の丘になっている。
以下は室戸岬の西側の丘のうえにある青少年自然の家から岬の先端の方向(南東)を撮影したもの。ぼこっと台地が並んでいるのはわかる。
色わけ標高図で見るとこんな感じ。このサイトから転載。
室戸のジオパークセンターに、非常にわかりやすいパネルと写真があった。ここに書かれている枦山台地、崎山台地、西山台地などが海成段丘にあたる。これらの台地の高さは100m~200mくらい。海岸そばからは絶壁だが、台地上部は西から東に向けてとても緩やかな傾斜になっていることがわかった。水が手に入りにくいので農地としての利用方法は限定的なようだ。崎山台地以外は時間切れで現地には行けず、運転しながらふもとから眺めた。
これらの海成段丘はどうやってできた?
確かにユニークな形状をしている海成段丘だが、どうやってできたのだろうか? いろんなサイトを漁ったところ、海成段丘の生成原因は主に以下の二つだ。
1.地殻変動 押されて隆起する。特に大地震の際に大きく隆起する。室戸の場合はフィリピン海プレートに押されて、1000年で2メートルの隆起ペースだとか。
2.水位変動 地球の寒暖で水位が変動する点が、砂礫の堆積場所や壁面の浸食具合に関係する。海の浅いところに砂礫がたまる。水面のところが削られて小さな絶壁になる。少しずつ隆起しては削られるので階段状の崖になる。
とはいえ、地質学的なアプローチと地球科学的・地殻変動からのアプローチで不一致点もあるようで、まだまだ完全に解明されたわけではない模様。
で、海成段丘って何がすごいの?
確かにユニークな台地だとは思うが、隆起でできる土地なら山脈の方が物理的にも時間的にもスケールが大きいじゃないか。海成段丘ってのはいったい何がすごいんだ、どういう目線で評価すれば良いのか、という点がずっとよくわからなかったのだが、スケールの小ささが逆に評価ポイントなのではないかと気が付いた。すなわち、例えば能登地震で海岸が4mも隆起したように、我々でも生きている間に目にすることがあるかもしれない数メートルの隆起が、1000年とかせいぜい10000年とかの積み重ねてできあがったものが海成段丘。それらの地震や隆起の記録もある程度人類により書き残されている。その意味で比較的に身近にトレースできるプレートテクトニクスが海成段丘、そう考えるとどうだろう。愛おしさも増すというものだ。
これ以上については継続課題としておこう。