海洋深層水のまち?
徳島の東海岸を南下し室戸岬へ。室戸市に入ったあたりから、妙に海洋深層水の看板が多い。ひと、ふた昔前に水の通販とかで良く目にしたが最近ほとんど聞かない「海洋深層水」のオンパレードに面くらいつつ、興味を引かれた。
しかし徳島から海岸沿いをずっと走ってきたが途中のまちでは一切目にしなかったし、室戸岬をまわって海を西に見ると海洋深層水の看板は一切消えるのだ。室戸の東海岸だけに集中している。なぜだ。
断層のある室戸の東海岸の地域優位性
そもそも海洋深層水って、海中に出る湧き水(真水)を汲み上げているのかと思っていたが、そうではなくて、汲み上げるのは海水で、200メートルより深い海から汲み上げた海水のことを海洋深層水と呼ぶのだそうだ。汲み上げた海水をフィルターと蒸留で塩分を取り除いて飲用にする。海水なんてどれも同じ・・・というものでもなく、深いところから汲み上げる海水は、光合成が行われないため、窒素、リン、ケイ素などの無機栄養塩が蓄積されていて、有機物が少ないので病原菌も少なく、マグネシウムなどのミネラルが豊富、なんだそうだ。
そしてなぜ室戸かというと、室戸の東海岸の沖合2Kmほどのところに断層壁があって、深層水が上昇してくるのだ。こんなに陸地から近い場所で深層水を汲み上げられる場所は日本でも数少ない。遠浅の海だとその分コストがかかる。どうやら高知県室戸市は、富山県の入善町、静岡県焼津市などと並んで日本のトップランナーのようである。
海洋深層水海水の淡水化の過程で塩が出てくるわけで、水と並んで塩も売られていた。舐めてみたらミネラル分が豊富なおいしい塩だった。
シレストSEAREST室戸という施設で、100%海洋深層水の露天風呂があったので試しに入ってみた。とっても塩っ辛い風呂だった。初体験。温度が低いので温泉の定義には当てはまらないだろうが、ミネラルはいっぱいでこちらの要件は満たしてるのだろうな。タラソテラピー(海洋療法)というジャンルがあるそうで、隣には水着で入る温水海洋深層水プールがあった。
高知県室戸の海洋深層水は地域の地形特性を活かした優位性ある期待の新産業と思った。ただ看板などがちょっと色褪せていたのが、ちょい気になった。水や塩以外の市場の創造が鍵なんだろうな。