民法第一条第三項「権利の濫用はこれを許さない」
「権利ノ濫用ハ之ヲ許サス」
大学で民法を学んだ方は記憶のどこかに残っているのではないだろうか。民法には所有権絶対の法理という大原則があるのだが、その権利の濫用は認められないとする法理で、現民法の第一条第三項ではその旨を明文で定めているのだが、戦前の民法には明文の規定はなかった。そんな中で二坪の土地の所有者が、自分の土地の上に無断で温泉の管が通っているのは所有権の侵害であると法外な値段で買い上げるよう要求し、断ると管をどけろと裁判を起こした。これに対し大審院(戦前の最高裁)はこの所有権の主張は権利の濫用だと明文の規定もなく退けるという画期的な判決を下した。この舞台となった温泉がここ宇奈月温泉だ。大学で聞いたこの地名、30年越しにようやく富山県にあったことを知った。
宇奈月温泉は意外とアクセスが良かった
この判例から宇奈月温泉は温泉の管を迂回することが著しく困難なやばい山あいの土地、というイメージを持っていたが、温泉の場所自体は谷筋ではあるものの意外と開けていた。やや古いがホテルやマンションもけっこうある。宇奈月温泉の源泉は上流の黒薙温泉らしいので、くだんの土地はもう少し上の方なのだろう。
最近オーナーチェンジしたらしく、年季の入ったホテルが大江戸温泉物語とグランヴィリオになっていた。
雪の影響と能登地震の影響
せっかくなので黒薙温泉へ行こうとしたのだが、宇奈月温泉駅から先は道路は通行止め、電車も途中で折り返し運転のため到達できなかった。今年は雪解けが遅くGWでもまだ黒部ダム方面の道路は途中で通行止めだったのと、そして先の能登半島の地震で道路や線路が崩れて復旧していない、というのがその理由。ということで一番下流のダムで折り返し。