鷲峰山トンネルが開通
宇治田原と和束とを結ぶ鷲峰山トンネルが開通したとの報を受け、山城方面をドライブ。従来は林道のような1.5車線路を超えていたところがトンネルになり、宇治田原から和束まで5分で着いた。従来は20分かかっていたところ。和束がとても近くなった。そしてその先にある笠置や月ヶ瀬方面も近くなったので、少し遠くまで行ってみることにした。
陶器生産に適した土ってどんなもの?
笠置のやや南に柳生の里があった。剣術で有名なところで鬼滅の刃ファンらしき親子がきていたが、今回気になったのは道中で目にした「柳生焼」。柳生の土でつくる焼き物だそうだ。柳生では陶器づくりに適した土が取れるのだろうか。そもそも陶器に適した土ってどんなのだ? 一概には言えないが、ざっと理解したところでは
- 陶器に使われる粘土は主に花崗岩由来。花崗岩に含まれる長石・硅石が風化して水や土と混ざったもの
- 長石はアルミナを多く含み、アルミナは粘土に粘りを持たせ、溶融温度をあげる
- 珪石はシリカを多く含み、シリカはガラスの素になる鉱物で、熱で流体となったガラスが土粒子の間に入り込み、冷めてガラスが固体化し土粒子同士をくっつける
- 長石や珪石の割合で色や焼成温度や吸水性や耐熱性が変わり、土に鉄分が多いと黒っぽくなる。これらの土質が陶器の個性になる。
なお京都では清水焼が有名だが、これは全国から土を集めて配合しているので、土壌からの特質はないそうだ。
陶器産業の発展に必要なものは
日本には花崗岩が多いので、多くの場所が陶器の産地になりそうなものだが、陶器生産が可能な土質という観点と、陶器が産業として発展し全国的にも著名になるという観点は別で、産業化するにはさらにプラスアルファが必要であるようだ。実際、日常使いの陶磁器を焼いていた民窯(みんよう)は全国に数多くあったようだ。他方、瀬戸焼、美濃焼、有田焼・伊万里焼が日本の三大陶磁器だが、これらは美術工芸品としても名高い。美術工芸品になると、デザイン性とそれを可能とする釉薬技術、そしてその販路の存在なども必要だろう。
さて柳生焼はというと、どうやら藩主や家老の趣味で焼かれたもので、産業という規模には至らなかった焼き物文化のようだが、それはそれで良いのであって、柳生の土と文化を背景とした陶器を楽しんでみたいと思った。