熊野那智大社のそばにある那智の滝(那智大滝)は、133mの落差があり落差日本一だ(ちなみに日光の華厳の滝は97m)。
これほどの大きな滝はなぜこの場所にできたのか
那智の滝は固い火成岩と削られやすい堆積岩の境界にあり、固い火成岩の方は削られにくいので渓谷になっていないというのが主因のようだ。他方で堆積岩の方は削られやすいのでどんどん落差が拡がる。産総研地質図で確認してみる。
桃色が火成岩(花崗岩)、梨色が堆積岩(海成層 砂岩泥岩互層)だ。なおこの堆積岩群は熊野層群と呼ばれる。
なぜここに火成岩層と堆積岩層があるのだろうか
答えは南紀熊野ジオパークのウェブサイトに詳しく書いてあった。そもそも紀伊半島は、プレートの沈み込みを要因として、3つの地質帯があるのだという。付加体(accretionary prism)、前孤海盆堆積体(fore-arc sediments)、火成岩帯だ。その順に歴史が古い。
付加体は海が深かった時代の地層がプレート移動により陸地に押し付けられたもの、前孤海盆堆積体は浅瀬まで移動してきたその付加体に窪みが出来て陸地からの泥や砂が堆積したもの、火成岩帯はその後の激しい火山活動の時代に付加体や前孤海盆堆積体をマグマが突き抜けてつくられたもの、だそうだ。マグマが突き抜けた跡が那智の滝の上の部分ということか。
紀伊半島に行くと、湾ごとに違う地質が見れることが不思議だったが、その原因はこういうことだったようだ。今回の旅ではこのあと勝浦~那智~新宮~御浜~鬼が城と湾岸をめぐったが、実に多様だった。
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